幹細胞移植

造血幹細胞移植

 血液のがんに罹患すると、抗がん剤治療や放射線療法を実施します。しかし通常の抗がん剤治療や放射線療法では治癒しない場合があり、より大量の抗がん剤や放射線が必要となります。しかしその治療は骨髄中の正常の造血幹細胞にも影響を及ぼし、白血球減少、貧血、血小板減少などの造血障害を引き起こします。また造血幹細胞自身が病気におかされ、正常に造血が行れなかったり、重い免疫不全などに陥る場合があります。「同種造血幹細胞移植」は、これらの原因で障害された造血幹細胞を健康な人(ドナー)の造血幹細胞に置き換える治療法です。骨髄から採取した細胞の移植を「骨髄移植」、末梢血から採取した細胞の移植を「末梢血幹細胞移植」、さい帯血を用いるものを「さい帯血移植」といいます。

骨髄移植と末梢血幹細胞移植は、わが国では血縁者間移植としてそれぞれ1万件以上、非血縁者間骨髄移植が2万件以上、さい帯血移植も1万件以上すでに行われています。また患者さん自身の造血幹細胞を移植する自家移植の件数は3万件以上に達しています。
造血幹細胞は基本的には骨髄に存在しますが、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を投与すると、骨髄から全身の血液中に流れ出すことがあります。この流れ出した造血幹細胞を「末梢血幹細胞」と呼んでいます。また、赤ちゃんとお母さんを結ぶへその緒のことをさい帯と呼びますが、さい帯と胎盤の中に含まれるさい帯血にも造血幹細胞が存在し移植に用いられます。

造血幹細胞とは

造血幹細胞移植の種類と方法

 患者さんには移植の前に約1週間かけて、大量の抗がん剤投与や全身への放射線照射が行われます。これを移植前処置といいます。この治療によって病的な細胞が減少しますが、同時に正常な造血幹細胞も破壊されます。それに伴って血液中の正常の白血球も極端に減少するため患者さんは感染症を合併しやすくなり、患者さんは移植前処置の前後から移植後に正常な血液細胞が造られて安定した数になるまで、清浄な空気が流れる移植用の病室(いわゆるクリーンルーム)で過ごすことになります。移植当日は、骨髄、末梢血あるいはさい帯血から採取されたドナーさんの造血幹細胞(同種移植)、もしくはあらかじめ保存しておいた患者さん自身の造血幹細胞(自家移植)を患者さんの静脈から点滴で注入します。



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