抗薬物抗体

薬物起因性抗体

1. 抗薬物抗体・・・・・・・・ペニシリン、セファロスポリン

   直接クームス : 広範囲   (+)
            lgG   (+)
            補体   (ときに+)

  ペニシリンの大量投与を受けている患者の約3%は、直接クームス陽性となるが、溶血性貧血を発生するのはその5%以下である。
ペニシリンが赤血球に吸着されると、赤血球表面のペニシリンは患者の抗ペニシリン抗体
と反応するが、補体が関与しないので血管内溶血はおこらない。

● 解離液はペニシリン処理血球と反応するが未処理血球とは反応しない。
● ペニシリン療法を中止すると治癒する

2. 免疫複合体・・・・・・・・フェナセチン、キニジン

   直接クームス : 広範囲   (+)
            lgG (ときに+)
            補体    (+)

 薬物と抗薬物抗体による免疫複合体は、赤血球膜に非特異的に付着し、赤血球表面で補体を活性化し血管内溶血をおこす。

● ヘモグロビン血症、ヘモグロビン尿症をおこし、約50%は腎不全になる。
● 患者赤血球は、ほとんど補体のみによって感作されているので解離液では反応しない。

3. 抗赤血球自己抗体・・メチルドーパ

   直接クームス : 広範囲   (+)
            lgG   (+)
            補体    (-)

 薬物ではなく内因性赤血球抗原と反応する自己抗体を生成する。

● しばしば抗体はRh式血液型と関連した特異性を示す。
● メチルドーパはサプレッサーT細胞の機能を妨げBリンパ球による自己抗体の過剰産生
 を招く。
● 温式自己抗体と似た反応を示す。

4. 赤血球膜の変化・・・・セファロスポリン

   直接クームス : 広範囲   (+)
            lgG   (+)
            補体    (+)

 赤血球膜に変化を生じ、その表面に各種血清蛋白が非特異的に吸着される。
アルブミン、lgG、A、M、αグロブリン、βグロブリン(補体)

● 特異性抗セファロチン抗体の関与による。
● 血液の選択は行わなくてよい。



 
直接抗グロブリン試験が陽性となる可能性のある薬剤
 
直接抗グロブリン試験が陽性となる薬剤の作用機序

薬剤の作用機序 

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