アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)

検査の目的

血清又は血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの測定を目的とする。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは主として肝細胞内、筋細胞内、赤血球内に存在する酵素で、これらの細胞の壊死、破壊によって血中に逸脱する。このため血中アミノトランスフェラーゼの上昇は肝細胞、筋肉、赤血球の壊死、破壊の程度を反映する。疾患の検出、程度、経過把握の重要な指標である。

検査に用いられる手順の原理及び測定法

測定法:JSCC標準化対応法
検体中のASTは、L-アスパラギン酸及びα-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸)を基質としてオキサロ酢酸とL-グルタミン酸を生成する。このオキサロ酢酸はリンゴ酸脱水素酵素(MD)の作用によりL-リンゴ酸に変化し、同時に還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)に変化し吸光度が減少する。NADHは340nmに吸収極大をもつため、この吸光度の減少速度を測定してAST活性値を求める。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

13~33U/L

警戒値/緊急異常値、異常時報告値

1000U/L以上は電話連絡を行う。
警戒値/緊急異常値、異常時報告値は電話で連絡したことを「異常値チェックリスト」に記録する。

臨床的解釈

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは肝細胞内、筋細胞内、赤血球内に存在する酵素で、これらの細胞の壊死、破壊によって血中に逸脱する。
肝細胞の壊死、破壊の原因として
(1)肝炎(ウイルス、薬物、アルコール、自己免疫、NASH)
(2)循環障害(虚血、うっ血、ショック)
(3)貯留(脂肪肝、ヘモクロマトーシス、Wilson病、アミロイドーシス)
(4)浸潤(白血病、悪性リンパ腫)
(5)感染(敗血症、肝膿腫)
(6)感冒がある。
疾患毎に臨床像や経過に特徴があり、鑑別上重要である。
またアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの上昇は心疾患でもみられ、急性心筋梗塞では、発症6~8時間で上昇し、48~60時間でピークに達する。

可能性のある変動要因

肝疾患と心疾患の鑑別のため、ALTとペアで測定することが望まれる。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは溶血の影響を受けるので検体採取、取扱いには十分に注意が必要である。
4℃で1週間、-80℃凍結で1カ月間検体保存が可能である。


SRL総合案内

AST



生化学検査にもどる