T&S(Type and Screen ; 血液型不規則抗体スクリーニング法)

 術中投与の可能性の低い場合に用いられる方法。
出血量が500ml~600ml以下と少なく、術中輸血の可能性が30%以下と小さいことが予想される待機的手術では、受血者のABO式血液型、Rh0(D)因子、不規則性抗体の有無をあらかじめ調べ、Rh陽性で不規則性抗体がない場合は、術前に交差適合試験を行わない。
緊急に輸血療法が必要になった場合には血液を取り寄せ、表検査によりABO式血液型のみを確認するか、あるいは交差適合試験(主試験)を生理食塩水法(迅速法)により行い、適合血を輸血する。

【対応時間】

 MAP4単位以内(照射血で) 15~20分以内で対応 

【T&S有効期間】

 手術翌日 12:00まで(原則的に)
 T&S検査結果の有効期限は前回の輸血から1週間以内である。

【理由】 

 血清の保存状態及び会計上の問題があるため。

【T&S対応とならない場合】

 1.不規則性抗体陽性者
 2.Rh陰性者
 3.その他希な血液型の人(-D-、ボンベイ、パラボンベイ等)

[こども病院運用例]

 1.主治医の判断により、T&S適応患者を決定する。
 2.手術3日前までに患児ABO式血液型オモテウラ検査・Rh(D)血液型・不規則
   抗体スクリ-ニング検査を実施する。
 3.ABO式血液型が確認可能で(生後6月以前の患児についてはオモテウラ不一致
   でも確認ができればT&S可能とする)Rh(D)陽性&不規則抗体スクリ-ニ
   ング検査陰性を確認し、T&S適応とする。
 4.手術前日までに再度患児血液を輸血検査室に提出し、血液型確認用の血液をストッ
   クしておく。
 5.手術時、輸血の必要が生じた際には、手術室より薬剤室と輸血検査室に電話で
   T&S血液使用を連絡する。
 6.手術室クラ-クは直ちに薬剤室に輸血用血液を取りに行く。
 7.薬剤室では払い出し用の血液の準備を行う。
 8.輸血検査室では保存検体を融解しABO式血液型オモテウラ・Rh(D)血液型の
   再確認を行い血液製剤の到着を待つ。
 9.クラ-クは薬剤室でセグメントNo.確認後、輸血用血液を持って輸血検査室に
   行く。
 10.輸血検査室では、患者・セグメントNo.を伝票照合し、照射を開始し、照射待
   ち時間中にセグメントで血液製剤のABO血液型オモテ検査のみの確認を行う。
 11.血液製剤を速やかに室温以上に暖め、使用する。


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