非特異凝集
赤血球試薬保存液中の薬剤
原因:EDTA、ステロイド剤、クロラムフェニコ-ル、カナマイシン、ゲンタ
マイシン、硫酸フラジオマイシン
● 患者が、これらの薬剤に対する抗体様物質を有すると、非特異凝集を起こす。
● 抗体はIgM系の反応を示し、生食法で凝集が見られる。
血球試薬を、生食液で洗浄・置換すると消失する
アルブミン試薬
原因:ウシアルブミン溶液の安定剤として添加されているカプリル酸ナトリウム、
不飽和脂肪酸
● 患者が、カプリル酸依存性抗体を保有していると、アルブミン法のみで自己対照を含む
すべての血球に凝集が見られる。
酵素法および、LISS、PEGなどを用いた抗グロブリン法で確認する
ブロメリン試薬
原因:蛋白分解酵素のブロメリン
● 自己対照を含むすべての血球試薬に同程度の強い凝集が見られる。
● 頻度は、ブロメリン法全体の0.5%程度。
● この異常反応はシアル糖蛋白遊離による界面電位低下による抗体分子の結合とされて
いるが、原因は明らかでない。
*2-ME、DTT処理によって反応が消失するので、IgM性の抗体。
アルブミン、LISS、PEGなどを用いた抗グロブリン法で確認する
連銭形成
原因:多発性骨髄腫・マクログロブリン血症・クリオグロブリン血症などの免疫グロブリ
ン増加や、ベックサルコイド・肝硬変のようなγ-グロブリン増加、高フィブリノ
-ゲン血症、リウマチなど免疫グロブリンやA/G比の増加する疾患で起こりやす
い。
高分子溶液ではデキストラン、ゼラチン、ヒドロキシエチルデンプンなどの輸注時
に生じやすい。
● 陰性荷電の赤血球表面に高分子溶液が付着すると、血球間の反発力が減弱して赤血球は
重なり合い、”銭”を重ねたような状態になり、非特異凝集を示す。
● 特にアルブミン法で強く反応する。
血液型判定は血球を生食で洗浄し、3~5%生食浮遊液に調整したものを使用。
生じた凝集は、生食液を滴下すると消失する
アルブミン、LISS、PEGなどを用いた抗グロブリン法を用いる
汎血球凝集(polyagglutination)
原因:細菌やウイルスの酵素、血液疾患、遺伝、後天性B抗原細菌やウイルスの酵素が
赤血球膜の糖脂質や糖蛋白質に作用し、T化する。
● 赤血球は成人血清の大部分に反応し、臍帯血清には反応しない。
● 自己対照、直接抗グロブリン試験は陰性。
● 抗体の反応は室温で強く、37℃で減弱する。
● 新鮮なAB型血清と凝集を起こす。細菌感染症、血液疾患、小児で注意。
各種レクチンとの反応でタイプ分類を行う
汎血球凝集が確認された場合は、血漿成分の輸血は危険
補体
原因:低温、低イオン強度下における補体成分の影響
● 検体を冷蔵庫に保存したり、検体を20℃以下に置いた場合に寒冷抗体が結合して補体
の活性が起こる。
● また、LISS系試薬の低イオン強度下で、血球膜への血清中の補体の取り込みが起こ
る。
● これらの検体に、多特異性ク-ムス試薬を用いた抗グロブリン試験を行うと非特異凝集
が見られる。
● 血球に付着した補体成分(主にC3)とク-ムス試薬中の抗補体成分との反応。
単一特異性抗IgG抗体で再検し、陰性を確認
解離試験は陰性
輸血にもどる