院内での検体の流れ
1.ABO式血液型
<オモテ試験>
1.赤ヴィダ-ル管に、1ml採血された検体を、遠沈分離
2.血球を生食にて1回以上洗浄し、3~5%生食液浮遊血球液を作成する。
3.2本の試験管に抗A血清、抗B血清を各1滴滴下する。
4.血球浮遊液を各抗血清に1滴ずつ加える。
5.3400rpm/15秒または、1000rpm/1分遠沈。
6.明るく白い背景で凝集の観察判定を行う。
★または、ガラス凝集板に抗A、抗B血清1滴+10%生食液浮遊血球液1滴を加え、
撹拌混和しながら2分以内に判定。
<ウラ試験>
1.赤ヴィダ-ル管に、1ml採血された検体を、遠沈分離
2.血球を生食にて1回以上洗浄し、3~5%生食液浮遊血球液を作成する。
3.3本の試験管に患者血清を各2滴ずつ滴下する。
4.それぞれの試験管に、A1血球、B血球、O血球を1滴ずつ加える。
5.3400rpm/15秒または、1000rpm/1分遠沈。
6.明るく白い背景で凝集の観察判定を行う。
*判定は”0”、”W+”、”1+”、”2+”、”3+”、”4+”、”H”で記載する。
2.Rh(D)血液型
1.赤ヴィダ-ル管に、1ml採血された検体を、遠沈分離
2.血球を生食にて1回以上洗浄し、3~5%生食液浮遊血球液を作成する。
3.2本の試験管に抗Rh(D)血清、Rh-hrコントロ-ルを各1滴滴下する。
4.血球浮遊液を各抗血清に1滴ずつ加える。
5.3400rpm/15秒または、1000rpm/1分遠沈。
6.明るく白い背景で溶血の有無、凝集の観察判定を行う。
3.直接抗グロブリン試験
抗凝固剤入りバイアル瓶に採血された血算用検体の一部を、生食にて3回洗浄しク-ムス血清を加えて凝集の確認を行う。
陰性の場合;ク-ムス血球を1滴滴下し、凝集することを確認
陽性の場合;広範囲ク-ムスでの反応が陽性であった場合には、抗ヒトIgG、抗C3
b・d、抗C3dの各ク-ムス血清との反応を検査する
*抗凝固剤を使用しない採血では、試験管内補体感作を受けるので注意。
4.成人同型間接ク-ムス
生後1週間以内で、T-bilが高値の新生児において、母児間で、ABO式血液型不適合が疑われる場合(母親;O、患児A型または、B型)には、成人同型との間接クームス試験を行う。
1.赤ヴィダ-ル管に、2~3ml採血された検体を、遠沈分離。
2.患児血球および、成人A血球または、成人B血球を生食にて3回洗浄し、3~5%
生食液浮遊血球液を作成する。
3.2本の試験管に患児血清を各2滴滴下する。
4.1本の試験管にA型または、B型血球浮遊液を1滴加え、もう1本の試験管には対照
として患児血球浮遊液を加える。
5.3400rpm/15秒または、1000rpm/1分遠沈。
6.明るく白い背景で溶血の有無、凝集の観察判定を行う。
陰性の場合;ク-ムス血球を1滴滴下し、凝集することを確認
陽性の場合;抗体スクリーニングにて不規則抗体の有無を確認
*ABO不適合と確認された場合には、患児血清を生食にて倍々希釈して、存在する
免疫抗体の力価を測定し、交換輸血が必要な場合の選択血液を確定する。
交換輸血選択血液;O型赤血球と、AB型血漿との合成血
合成血が間に合わない場合は、O型MAP赤血球+AB型新鮮凍結血漿
5.抗体スクリ-ニング
1.赤ヴィダ-ル管に、3ml採血された検体を、遠沈分離
2.血球を生食にて1回以上洗浄し、3~5%生食液浮遊血球液を作成する。
3.患者血清を、マジックにて加える血球名を記載した4本の試験管に2滴ずつ分注す
る。
4.4本の試験管に Selectogen Ⅰ、Selectogen Ⅱ、ディエゴA血球、患者血球浮遊液
各1滴を滴下する。
5.「方 法」生食法
ブロメリン法
ク-ムス法
6.3400rpm/15秒または、1000rpm/1分遠沈。
7.明るく白い背景で溶血の有無、凝集の観察判定を行う。
陰性の場合;ク-ムス血球を1滴滴下し、凝集することを確認。
陽性の場合;パネルセルを用い、消去法にて抗体の同定を行う。
*不規則抗体が証明された場合は、その旨、臨床側にレポートにて報告し、抗体陰性
血液の使用を促す。
*交差適合試験は、同定された不規則抗体を一番感度よく検索可能な方法を用いて行
う。
6.交差適合試験(溶血性輸血副作用の防止)
輸血前検査として、溶血性輸血副作用防止に重要な検査
輸血用血液と患者血液との間に血液型抗体に起因する抗原抗体反応が起こるかを試験管内で検査し、輸血による副作用を未然に防止する。
*主試験と副試験がある。
*主試験は、患者血清と供血者血球との反応である。
*副試験は、患者血球と供血者血漿との反応である。
*赤十字血液センタ-で供給される血液に対しては、不規則同種抗体の有無の確認が
されているので、患者のABO、Rho(D)血液型および不規則同種抗体が存在し
ないことを確認すれば副試験は省略できる。
「原 理」 主試験:受血者血清 + 供血者血球
副試験:供血者血漿 + 受血者血球
「方 法」生食法
ブロメリン法
PEG
LISS
ク-ムス法
*MAPの抗凝固作用はCPDによる。
*交差試験用の検体は、血液型検査検体とは別に採取する。
(検体採取ミスを防ぐため)
*溶血反応には補体を必要とするので、採血後72時間以内の血液を用い、検体は不活
化してはならない。
*溶血血液は、溶血反応が正しく検査できないので検体として不適当。
*血球と血清は分離して血球は冷蔵庫に、血清は冷凍庫に保存。
*頻回輸血の患者は常に新しく採血した血液を用いる。
*Rho(D)型不適合は検出不能。
【通常時の検査法】
1.血液型検査
(ABO式血液型オモテ・ウラ試験、Rh(D)血液型)
2.抗体スクリ-ニング
(不規則抗体陽性の場合はパネルセルを用い抗体同定および、患者不規則抗体陽性
血液型の確認)
3.ク-ムス法または、ブロメリン法による交差試験
(抗体スクリ-ニングにて不規則抗体陽性の場合は、その抗体の検出に適した交差
試験の方法を用いて交差試験を行う)
【緊急時の場合】
1.抗体スクリ-ニングが実施されている場合
a.T&Sの場合
患者と供血者のABO式血液型オモテのみ確認、または生食法のみの交差試験
実施によるABO式血液型一致の確認
b.通常緊急時
生食ク-ムス法にて交差適合試験
c.手術時等の緊急時
患者と供血者のABO式血液型オモテ・ウラ確認および、生食法のみの交差試験
にて血液使用許可を出し、引き続きク-ムス法による交差試験を実施
2.抗体スクリ-ニング未実施の場合
a.通常緊急時
血液型検査(ABO式血液型オモテ・ウラ試験、Rh(D)血液型)および、
生食ク-ムス法にて交差適合試験
b.手術時等の緊急時
患者と供血者のABO式血液型オモテ・ウラ試験・Rh(D)血液型確認およ
び、生食法のみの交差試験にて血液使用許可を出し、引き続きク-ムス法による
交差試験を実施
【ABO不適合、Rh不適合が疑われる場合の検査と選択血液】
・ABO不適合疑い;
1.両親のABO式および、Rho(D)血液型の確認
2.母親の妊娠歴および、輸血歴
3.母親に妊娠歴または、輸血歴がある場合は臍帯血または、患児血清を用いた抗体
スクリ-ニングの実施
4.IgG抗体が検出された場合は、抗体価の測定
*交換輸血時の適合血:O型血球とAB型血漿の合成血を用いる。
合成血が間に合わないときは、O型血球MAPとAB型新鮮凍結血漿を用いる。
*可能ならば輸血する赤血球は母親血清との間で交差適合試験を行う。
・Rh不適合疑い;
1.両親のABO式および、Rho(D)血液型の確認
2.母親の妊娠歴および、輸血歴
3.Rh5因子の検索
4.母親に妊娠歴または、輸血歴がある場合は臍帯血または、患児血清を用いた抗体
スクリ-ニングの実施
5.IgG抗体が検出された場合は、抗体価の測定
*交換輸血時の適合血 : ABO型血液は児と同型のRho(D)陰性血を用いる。
*可能ならば輸血する赤血球は母親血清との間で交差適合試験を行う。
当院のアルブミン試薬;pH7.2、重合20.9%蛋白濃度のアルブミン
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