遅延型副作用

《遅延型溶血性副作用》(数時間以降~数日週月)
● 溶血性反応;
 1.赤血球抗原、抗赤血球抗体と反応した血球を貪食することより始まる免疫反応に
   よる赤血球血液型不適合での血管外溶血性副作用(Rh系不適合輸血)
   一次免疫反応
    初回同種免疫の結果である。D抗原以外の赤血球抗原にレシピエントが感作され
   る頻度は一単位あたり1~1.6%と計算される。輸血後早くても7~10日後に認
   め,場合により数週間から数カ月後に認める場合もある。一次免疫反応ではほとん
   ど重篤な溶血を起こさない。診断はへモグロビンの予期せぬ低下とDAT陽性や新し
   い同種抗体の出現である。
 2.二次抗体応答機序による遅発性溶血性副作用(Kidd系)
   二次免疫反応
    以前に免疫感作を受けていて,その赤血球抗原が再輸血された場合である。初期
   免疫後,時間の経過と共に産生された同種抗体は血清中から検出できないほど減少
   する。輸血前検査では不規則抗体や交差不適合の成績はない。しかし,輸血3~7
   日後に二次性免疫反応がおこり高力価のIgG抗体が産生される。最も一般的な症状は
   発熱,予期せぬへモグロビンの低下,中程度の黄疸である。へモグロビン尿を認め
   るが,腎不全はまれである。治療の必要は少ないが腎機能には十分な注意が必要と
   される。輸血を受けた人や3ヵ月以内の妊婦の場合は3日以内に採血した交差試験用
   の血液を使用するようにする。これは,急激に生じる抗体の見逃し防止を目的とし
   ている。もし,DATがこの時に行われ,また,自己コントロールが検査されている
   と抗体は認めなくても,抗体が付着した赤血球を見つけることが出来る。
● 非溶血性副作用;
 1.血小板抗原、抗血小板抗体による輸血後紫斑病や、HLA class Ⅰ抗原、抗HLA
   抗体による血小板輸血不応状態等の血小板血液型不適合
 2.MHCとTリンパ球とによる輸血後GVHD
● 病原体の輸注
 1.病原微生物による輸血後肝炎等
● 大量・頻回輸血;
 1.組織への過剰鉄沈着による臓器の機能障害(輸血後ヘモジデロ-シス)

*溶血の進行により直接抗グロブリン試験が陰性を示すことがある。
*血液型の変化、交差試験の確認、検体の溶血把握(血清LDH値、血清K値、血清
 トランスフェリン、血液塗沫標本での破壊赤血球)、腎機能低下(BUN、クレア
 チニン)、DIC(FDP、フィブリノ-ゲン、D-ダイマ-、血小板数)、
 部分凝集に注意



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