輸血療法の考え方

【適応の決定】

1.目的
   輸血療法の主な目的は、血液中の赤血球などの細胞成分や凝固因子などの蛋白質成
  分が、量的に減少または機能的に低下したときに、その成分を補充することにある。
  他の薬剤の投与によって治療が可能な場合には、輸血は極力避け、手術時には輸
  血量の削減に有効な薬剤の活用が望まれる。
2.輸血による危険性と治療効果との比較考慮
   輸血療法には一定のリスクが伴うので、リスクを上回る効果が期待されるかどうか
  を十分に考慮し、適応と輸血量を決めるべきである。
3.説明と同意
   患者またはその家族が理解できる言葉で、輸血療法の必要性、使用する血液製剤と
  使用量、輸血に伴うリスクやその他輸血後の注意点および自己血輸血の選択肢につい
  てよく説明し、同意を得たうえで、同意書を作成し、一部は患者に渡し、一部は診療
  録に添付しておく。

【輸血方法】

1.輸血製剤の選択、用法、用量
   血液中の各成分は必要量、血管内寿命、産生率などがそれぞれ異なり、また体外に
  取り出され保存された場合、その機能は生体内にある場合とは異なる。輸血療法を実
  施する時は、各血液成分の持つ機能を十分考慮して、輸血後の効果を期待する値をあ
  らかじめ定め、用いる血液製剤の種類、投与量、輸血の回数および間隔を決める必要
  がある。
2.成分輸血
   目的以外の成分による副作用や合併症を防ぎ、循環系への負担を最小限にし、限ら
  れた資源である血液を有効に用いるため、全血輸血を避けて、血液成分を用いる成分
  輸血を行う。
3.自己血輸血
   最も安全性の高い輸血療法であり、特に待機的外科手術においては積極的に導入す
  ることが推奨される。

【血液製剤の使用指針】

1.輸血療法の原則
  補充療法
  計画的投与と効果の評価
2.赤血球輸血
  全血の適応を例外的なものとして除外
  自己血輸血の推進
3.血漿輸血
  原則として複合凝固因子の補充に限る



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