血小板特異抗原
血小板膜表面に存在する血小板同種(アロ)抗原には、HPA抗原(human platet antigens;ヒト血小板抗原)、HLA抗原(human leukocyte antigens;ヒト白血球抗原)、ABO血液型抗原、Lewis抗原、P抗原、I抗原などの同種抗原が存在する。これらの血小板同種抗原による同種免疫感作が原因で、血小板輸血不応(PTR)、新生児血小板減少性紫斑病(NAITP)、輸血後紫斑病(PTP)などの病態に関係していることが明らかになっている。
血小板特異抗原(HPA;human plateletantigen)
血小板特異抗原系は、1990年国際輸血学会(ISBT)、国際血液学会(ICSH)の提唱で、従来の発端者の名にちなんで名づけた独自の名称から、混乱を避けるための国際的統一名称HPAに名称が整理された。現在HPA1~13までの抗原系が認められている。
【血小板特異抗原の分類とその遺伝子解析】
血小板抗原・抗体検査法
検体
凝固血液から分離した血清を用いる。
(少しでも血漿成分が含まれていると偽陽性となるため、トロンビン処理が必要で
ある。)
検査法
① 混合受身凝集法(MPHA)
マイクロプレートU底に血小板を固相し被検血清を感作後、洗浄し抗ヒトIgG抗体(IgM、IgA)をラベルした固定ヒツジ血球(指示血球)を加え、室温で反応させて判定する。わが国では標準的検査法として最も広く普及している。
抗HLA抗体と抗HPA抗体を同時に検出できる。
反応が陽性の場合は抗HLA抗体と抗HPA抗体の鑑別が必要である。
= 抗HLA抗体と抗HPA抗体の鑑別 =
0.8Mクロロキン溶液をプレートに1時間反応させ、HLA抗原を不活化して5回洗浄
し、検査に用いる。反応が陰性化または減弱した場合はHLA抗体を疑う。
※0.8Mクロロキン溶液
クロロキンジホスフェイト(SIGMA社)41gにダルベッコPBS100ml
に溶解し、5N NaOHでpH5.0に合わせる(4℃で数ヶ月保存可能)
● 抗HLA抗体の検出にはリンパ球細胞毒試験(LCT;lymphocyte cytoto-xicity
test)、あるいは抗グロブリン異種血清を用いることで感度を2~3倍上昇させた
AHG-LCT法が用いられる。
② MAIPA法
血小板と被検血清を反応させた後、血小板の各糖蛋白に対するモノクローナル抗体(GPⅠa/Ⅱa、GPⅠb、GPⅡb、GPⅡb/Ⅲa、GPⅣなど)を反応させ抗原糖蛋白をマークする。次に血小板膜を可溶化後、抗マウスIgG、IgM抗体をコートしたプレートに分注し、酵素抗体法で検出する。
③ 蛍光抗体法(PSIFT-FCM)
血小板をパラホルムアルデヒドで固定した後、固定血小板と被検血清を反応させて、洗浄後蛍光標識抗ヒトIgG、IgM抗体を加え、血小板に結合した蛍光強度を蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリー(PSIFT/FCM)で測定する。
※ 被検血清の代わりにHPA特異性既知の抗血清を用いることで、被検血小板型
タイピングに応用できる。
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