血小板抗体

 抗血小板抗体には抗血小板自己抗体と抗血小板同種抗体の2種類が存在する。抗血小板同種抗体は自己の血小板が持っていない抗原に対する抗体で、他人の血小板とは反応するが、患者自身の血小板とは反応しない。一方、抗血小板自己抗体他人の血小板のみならず、患者自身の血小板とも反応する抗体である。抗血小板自己抗体が病態の中心的な役割を果たしている代表的な疾患が特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura; ITP)である。

● 自己抗原
 1.血小板表面膜糖蛋白;GPⅡb-Ⅲa、GPⅠb-Ⅸ、GPⅠa-Ⅱaなど
 2.血小板内部蛋白;ビンクリン(細胞骨格筋系に関連した蛋白 120kDa)、
   62kDaなど 
 3.薬剤起因性(薬剤起因性血小板減少における自己抗体の標的)
    ;GPⅠb-Ⅸ(キニン-キニジン、ヘパリン)など
 4.糖脂質、リン脂質

● 同種抗原
 1.アロ抗原;a.HLA-A、B抗原
        b.ヒト血小板抗原(HPA):GPⅠb、GPⅡb、GPⅢa、
          GPⅠaなど
        c.AB抗原
 2.イソ抗原;GPⅣ(欠損:Naka)
        GPⅡb-Ⅲa(欠損:血小板無力症)
        GPⅠb-Ⅸ(欠損:ベルナ-ル・ス-リエ症候群)

● 自己抗体
 特発生血小板減少性紫斑病(ITP)に出現する自己抗体対応抗原の多くは、血小板膜糖蛋白質 GPⅡb-Ⅲa、GPⅠb-Ⅸ複合体上にある。
*GPⅠb-Ⅸ自己抗体を持つITPは血小板減少の程度が強く、 薬剤に対する反応性
 が悪い。

● 同種抗体
 アロ抗原とイソ抗原がある。同種抗体で発症する病態には、新生児同種免疫性血小板減少性紫斑病と血小板輸血不応状態がある。

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