血小板同種抗体検査法
抗血小板抗体の測定法としては、患者血小板表面の抗体を検出する方法と、患者血清中の抗血小板抗体を検出する方法に分けられる。患者血小板表面に結合している抗体を platelet- associated IgG(PAIgG)、血清中に存在する抗血小板抗体を platelet bindable IgG(PBIgG)と呼んでいる。
○PAIgG測定法;抗血小板自己抗体のみを検出し、抗血小板同種抗体は検出し
ない。
(直接抗グロブリン試験に相当する検査法)
○PBIgG測定法;抗血小板自己抗体のみならず抗血小板同種抗体も検出する。
(間接抗グロブリン試験に相当する検査法)
検体
凝固血液から分離した血清を用いる。
(少しでも血漿成分が含まれていると偽陽性となるため、トロンビン処理が必要で
ある。)
検査法
① 混合受身凝集法(MPHA)
マイクロプレートU底に血小板を固相し被検血清を感作後、洗浄し抗ヒトIgG抗体(IgM、IgA)をラベルした固定ヒツジ血球(指示血球)を加え、室温で反応させて判定する。わが国では標準的検査法として最も広く普及している。
抗HLA抗体と抗HPA抗体を同時に検出できる。
反応が陽性の場合は抗HLA抗体と抗HPA抗体の鑑別が必要である。
= 抗HLA抗体と抗HPA抗体の鑑別 =
0.8Mクロロキン溶液をプレートに1時間反応させ、HLA抗原を不活化して5回
洗浄し、検査に用いる。反応が陰性化または減弱した場合はHLA抗体を疑う。
※0.8Mクロロキン溶液
クロロキンジホスフェイト(SIGMA社)41gにダルベッコPBS100mlに
溶解し、5N NaOHでpH5.0に合わせる(4℃で数ヶ月保存可能)。
● 抗HLA抗体の検出にはリンパ球細胞毒試験(LCT;lymphocyte cytotoxicity
test)、あるいは抗グロブリン異種血清を用いることで感度を2~3倍上昇させた
AHG-LCT法が用いられる。
② MAIPA法
血小板と被検血清を反応させた後、血小板の各糖蛋白に対するモノクローナル抗体(GPⅠa/Ⅱa、GPⅠb、GPⅡb、GPⅡb/Ⅲa、GPⅣなど)を反応させ抗原糖蛋白をマークする。次に血小板膜を可溶化後、抗マウスIgG、IgM抗体をコートしたプレートに分注し、酵素抗体法で検出する。
③ 蛍光抗体法(PSIFT-FCM)
血小板をパラホルムアルデヒドで固定した後、固定血小板と被検血清を反応させて、洗浄後蛍光標識抗ヒトIgG、IgM抗体を加え、血小板に結合した蛍光強度を蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリー(PSIFT/FCM)で測定する。
※ 被検血清の代わりにHPA特異性既知の抗血清を用いることで、被検血小板型タイピングに応用できる。
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