直接抗グロブリン試験

直接抗グロブリン試験 (DAT;Direct antiglobulin test)

【定義】

 後天性溶血性貧血の原因となる自己抗体、新生児溶血性疾患及び輸血副作用の原因となる種々の血液型の免疫抗体は生理食塩水中で凝集能力をもたない場合が多い。こういった抗体を非定型抗体(不完全抗体)とよぶ。
この非定型抗体を検出する方法のうち一番すぐれているのがク-ムス試験である。
このク-ムス試験に直接法、間接法とがある。
直接法は生体内ですでに赤血球と結合している不完全抗体を検出する方法である。

【臨床的意義】

(1)自己免疫性溶血性貧血の診断
(2)新生児溶血性疾患の診断
(3)血液型不適合輸血の証明
(4)化学療法剤の有害効果
(5)血液型判定の有効性評価
(6)Du試験の有効性評価
(7)冷式凝集素による試験管内での補体感作の証明

【直接ク-ムス試験陽性を呈する場合】

1.特発性自己免疫性溶血性貧血
2.新生児溶血性疾患
3.発作性寒冷血色素尿症
4.寒冷凝集素症
5.全身性エリテマト-デス
6.悪性リンパ種、癌など続発した溶血性貧血
7.不適合輸血
8.まれに健康人

【測定原理】

 赤血球膜上に付着しているヒトグロブリン(抗体分子、補体成分)を抗グロブリン血清を用い 肉眼判定により凝集の有無を確認する。赤血球膜上にヒトグロブリンが付着していると、 抗グロブリン血清はこのグロブリンと次々に反応し凝集する。 又赤血球膜上にグロブリンが付着していない赤血球は凝集しない。

抗体解離試験

吸着試験

直接抗グロブリン試験 陽性時の対応


直接抗グロブリン試験が陽性となる可能性のある薬剤

直接抗グロブリン試験陽性薬剤の作用機序



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