甲状腺刺激ホルモン(TSH )

検査の目的

血漿中のTSHの測定を目的とする。
甲状腺刺激ホルモン(TSH:Thyroid stimulating hormone)は下垂体前葉のTSH産生細胞で合成、分泌される糖蛋白ホルモンでαとβの2つのサブユニットからなり、αは黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)に共通である。TSH分泌は甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)によって刺激され、甲状腺ホルモンによってネガティブフィードバック抑制を受ける。このフィードバック調節は鋭敏で、甲状腺ホルモンの分泌が僅かに亢進しているが血中甲状腺ホルモン値が基準値を超えないような状態でも、TSHは低値となり、逆に甲状腺ホルモンの僅かな分泌低下でも高値となる。このようなTSHの分泌の変化は、TRHに対するTSHの反応を見ればさらに明確になる。日常の臨床において、TSHの異常はこのフィードバック系を介しての甲状腺ホルモンの分泌異常による続発性のものが多く、TSH値の異常を見た場合には、まず甲状腺原発疾患を疑う。甲状腺に異常が無い場合には、下垂体や視床下部の疾患の可能性があり、他の下垂体ホルモンの分泌動態や画像診断が重要となってくる。

検査に用いられる手順の原理及び測定法

血漿中のTSHを測定するもので、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)を測定原理とする。第1反応として検体、試薬1(ビオチン化抗TSH抗体)及び試薬2(Ru(bpy)3標識抗TSHマウスモノクローナル抗体)を加えインキュベーションする。第2反応としてMP液(SA磁性MP)を加えインキュベーションし、反応混合液を測定セルに吸引し、磁力によりSA磁性MP電極に引き付ける。次にプロセル(トリプロピルアミン)を吸引し、未反応のRu(bpy)3標識抗TSHマウスモノクローナル抗体を除去する(B/F分離)。SA磁性MPに結合しているRu(bpy)3標識抗TSHマウスモノクローナル抗体のRu(bpy)3は、電極への荷電による酸化と、トリプロピルアミンでの還元反応により励起発光を繰り返す。所定時間での発光強度を光電子増倍管で測定する。同様の操作をしたキャリブレータの発光強度から、検体中のTSH濃度を算出する。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

 0.523~4.19μIU/mL

警戒値/緊急異常値、異常時報告値

 該当なし

臨床的解釈

甲状腺刺激ホルモンは全身の諸臓器に作用し、個体の成長、発育に重要。またエネルギー産生や様々な代謝、循環器系の調節なども司る。
分泌過剰症状:全身倦怠感、頻脈、心房細動、食欲亢進、無月経、近位筋の筋力低下、深部腱反射亢進、手指振戦
分泌低下症状:易疲労感、発汗低下、皮膚乾燥、食欲低下、月経過多、粘液水腫、嗄声、筋力低下

可能性のある変動要因

該当なし


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