免疫グロブリン
我々の体は免疫という仕組みにより守られている。
この免疫の仕組みは大きく分けて、3つの段階があり、まず、異物の体内への侵入に対して物理的・化学的に阻止(例えば、皮膚や粘膜が物理的に体内と体外を隔て異物の侵入を阻止し、涙や唾液などに含まれるリゾチームは細菌の細胞壁を化学的に破壊し、細菌の体内への侵入を阻止)。2つ目の段階として、体内に侵入した異物(抗原)は生体内の細胞により、いち早く食される。この貪食を行うのが、食細胞(マクロファージ)、樹状細胞や好中球。これらの防御の段階を自然免疫という。自然免疫で処理できなかった場合は、3つ目の防御機構として獲得免疫(適応免疫)が働く。
獲得免疫には細胞傷害性T細胞が直接細胞を攻撃する細胞性免疫と、侵入した抗原に抗体が作用する体液性免疫がある。
抗体
抗体は免疫グロブリン(Immunoglobulin: Ig)と呼ばれるタンパク質。
血漿を電気泳動するとアルブミンと複数のグロブリンの分画に分けることができる。
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抗体はグロブリンの分画に含まれているので、抗体を免疫グロブリンと呼ぶ。ヒトの抗体は主に2種類のポリペプチド(H鎖とL鎖)で構成されており、このうちH鎖と呼ばれる分子量の大きいポリペプチドの違いにより、抗体は大きく5つ(IgA, IgD, IgE, IgG, IgM)に分類される。このうち血液中に最も量の多い抗体がはIgG。
免疫グロブリンのうち最も量の多いIgGの模式図(図2)
IgGは2種類のポリペプチドが2本ずつの4本で構成されており、これら4本のポリペプチドがジスルフィド結合した分子量約15万のタンパク質。IgGは分子の両端に抗原と結合する部位を持っており、この部位で抗原と結合する。1種類の抗体は基本的に1種類の抗原と結合。このことを抗体の特異性という。
抗体が抗原と結合することによる防衛反応は大きく分けて以下の3つ。
①中和作用
細菌や毒素などの抗原に抗体が結合すると抗原の作用が中和(無力化や無毒化)すること。すなわち、抗原に抗体が結合すると抗原が自由に動けまわれなくなったり、立体構造が変化したりして毒性が失われる。
②貪食細胞の食作用を促進
貪食細胞には抗原と結合した抗体を認識するレセプター(Fcレセプター)が存在する。貪食細胞はこのレセプターで免疫複合体と結合することで抗原を貪食しやすくし、素早くより多くの抗原を貪食することがでるようになる。
③補体を活性化
抗体が細菌と結合すると血液中に存在する補体が活性化される。その結果、最終的に補体は抗原である細菌などに穴をあける。
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