ミコフェノール酸

 ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil:MMF)はプリン生合成経路
のイノシン酸脱水素酵素を可逆的、非競合的に阻害し、DNA合成を阻害し免疫抑制作用
をもたらす。プリンのsalvage合成経路を阻害しないことからde novo 合成経路が主体
のT細胞、B細胞の活性化を阻害する。MZRの作用機序に類似しているが、血中半減期
は長い。

効能又は効果

○腎移植後の難治性拒絶反応の治療
(既存の治療薬が無効又は副作用等のため投与できず、難治性拒絶反応と診断された場合)
○下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
 腎移植、心移植、肝移植、肺移植、膵移植

生物学的基準範囲又は臨床判断値

重度の慢性腎不全患者(糸球体濾過率<25mL/分/1.73m2)では血中濃度が高くなるおそれがあるので、1回投与量は1,000mgまで(1日2回)とし、患者を十分に観察すること。

AUC0-12 30−60μg・hr/mL
トラフ 1.0ー3.0μg/mL(HPLC法・ECLIA法)
    1.3ー4.5μg/mL(EMIT法・ACMIA法)

注意事項

1.重篤な消化器系疾患のある患者[症状を増悪させるおそれがある。]
2.重度の慢性腎不全患者[血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。]
3.腎移植後臓器機能再開遅延患者[血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。]

1.腎移植後の難治性拒絶反応の治療の場合、急性拒絶反応と確定診断された患者で、既存の治療薬
 (高用量ステロイド等)が無効又は副作用等のため投与できない患者に投与すること。
2.他の免疫抑制剤と併用する場合には、過度の免疫抑制により感染(日和見感染症や進行性多巣性
 白質脳症(PML))に対する感受性の上昇、悪性リンパ腫及び他の悪性腫瘍(特に皮膚)が発現
 する可能性があるので、十分注意すること。
3.免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化に
 よる肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後
 にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイル
 スキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。
 肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーの
 モニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意
 すること。
4.本剤には催奇形性があるので、妊娠する可能性のある婦人への使用に際しては、患者に次の注意事項
 についてよく説明し理解させた後、使用すること。


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