クレアチニン

検査の目的

 血清中、血漿中又は尿中のクレアチニンの測定。
クレアチニンは筋肉中の終末代謝産物であり、腎糸球体で濾過され、尿細管での再吸収や分泌が少ないので、GFRの指標として用いられる。しかしながら、GFRが3/2程度低下するまでクレアチニンに著変がないことに注意する。
クレアチニンの生成と排泄は、筋肉中でクレアチンリン酸から非酵素的な脱リン酸化反応によって生成されることと、クレアチンからも1分子の水が取れて生成される。代謝最終産物として尿中へ排泄される。クレアチニンの尿中の排泄量は筋肉量に相関し、筋肉量に変化なく腎機能が安定していれば比較的安定した値をとる。したがってクレアチニンの1日の排泄量は各個体でほぼ一定の腎機能とは相関しない。

検査に用いられる手順の原理及び測定法

 検体中に存在するクレアチンはクレアチナーゼ(CR)、ザルコシンオキシダーゼ(SOX)、カタラーゼの作用により水(H2O)と酸素(O2)に分解されるため、影響しない。
検体中のクレアチニンはクレアチニナーゼ (CRN) の作用によりクレアチンとなり、次いでCRの作用によりザルコシンを生じ、さらにSOXの作用により過酸化水素 (H2O2) を生成する。このH2O2はペルオキシダーゼ (POD) の存在下で、N,N-ビス(4-スルホブチル)-3-メチルアニリン二ナトリウム (TODB) と4-アミノアンチピリン (4-AAP) を酸化的に縮合させ、赤紫色のキノン色素を生成する。このキノン色素を比色定量することによりクレアチニン濃度を求める。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

 血清及び血漿中のクレアチニン濃度 : 0.50~1.10mg/dl
 尿中のクレアチニン濃度      : 成人男性1.1~1.9 g/day
                    成人女性0.5~1.6g/day

警戒値/緊急異常値、異常時報告値

5mg/dL以上

臨床的解釈

血清クレアチニンの上昇は腎前因子(脱水、ショック、心不全など)腎性因子(糸球体腎炎、間質性腎炎、尿細管障害など)、腎後性因子(尿路閉塞など)で起こりうる。
また、筋肉量の増加(スポーツ選手、先端巨大症など)があれば、クレアチニンは軽度上昇しうる。反対に、筋肉量が減少したり、(長期臥床、筋ジストロフィーなど)、多尿(尿崩症など)でクレアチニンは低下する。
シメチジン、プロベネシド、スピロノラクトンなどの薬剤で、クレアチニンの近位尿細管での分泌が阻害され、血清クレアチニン値が上昇することがある。さまざまな薬剤(アミノグリコシド、アムホテリシンB、非ステロイド系抗炎症薬、シクロスポリン、重金属など)や造影剤などで、腎障害をきたし上昇することがある。酵素法で抗真菌薬フルシトシンで正誤差を生じることがある。
尿中のクレアチニンは、1日の蓄尿で総排出量を求めて蓄尿の信頼性をチェックすることと、血清クレアチニン濃度と伴わせてクレアチニンクリアランスを計算して腎機能を評価する。他の尿中成分の定量で、24時間蓄尿ができないときは、クレアチニンの値で徐して標準化することにある。クレアチニン排泄量自体の増減の疾患の診断における意義はない。
尿中クレアチニンの濃度は尿の濃縮度によってまちまちなので1日排泄量を基準とする。クレアチニンクリアランスを計算して腎機能を評価したり、fractional excretionを計算して尿細管機能を評価したり急性腎不全の鑑別に有用。

可能性のある変動要因

 血清クレアチニンは筋肉量に比例するので、男性は女性よりやや高値。日内変動がある。肉食後上昇するので、早朝空腹時が最も低い。絶食時に日内変動はみられない。


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