インスリン

検査の目的

血清又は血漿中のインスリンを測定することにより、内因性膵β細胞量と機能の検索、糖尿病の病型分類、糖尿病の治療薬剤の選択を行う。

検査に用いられる手順の原理及び測定法

血清又は血漿中のインスリンを測定するもので、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)を測定原理とする。第1反応として検体、試薬1(ビオチン化抗インスリン抗体)及び試薬2(Ru(bpy)3標識抗インスリン抗体)を加えインキュベーションする。第2反応としてMP液(SA磁性MP)を加えインキュベーションし、反応混合液を測定セルに吸引し、磁力によりSA磁性MP電極に引き付ける。次にプロセル(トリプロピルアミン)を吸引し、未反応のRu(bpy)3標識抗インスリン抗体を除去する(B/F分離)。SA磁性MPに結合しているRu(bpy)3標識抗インスリン抗体のRu(bpy)3は、電極への荷電による酸化と、トリプロピルアミンでの還元反応により励起発光を繰り返す。所定時間での発光強度を光電子増倍管で測定する。同様の操作をしたキャリブレータの発光強度から、検体中のインスリン濃度を算出する。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

 1.5~17.0μU/mL(空腹時)
 75gOGTT時のインスリン反応の推移は健常成人では以下のようになる
 空腹時:10±5μU/mL
 負荷後30分:68±22μU/mL
 負荷後60分:48±19μU/mL
 負荷後90分:43±18μU/mL
 負荷後120分:39±16μU/mL
 負荷後180分:18±14μU/mL

警戒値/緊急異常値、異常時報告値

 該当なし

臨床的解釈

1型糖尿病では自己免疫異常により、インスリンを分泌するβ細胞が破壊されるため、典型的な症例ではインスリンは極めて低値となる。このような症例には外来性のインスリン注射が必須となる。
2型糖尿病では空腹時のインスリン値は軽度低値~軽度上昇までさまざまであり、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)においても、負荷後のインスリン反応は低下~過剰反応を示すものまで種々ある。ただ2型糖尿病のインスリン反応の特徴は、負荷後早期のインスリン分泌が遅延することである。
肥満者では糖尿病の有無にかかわらず、高インスリン血症を呈することが多く、これは肥満による末梢でのインスリン抵抗性に対して、膵β細胞からインスリンが過剰に分泌されるためである。この高インスリン血症により、末梢のインスリン感受性が低下し悪循環を招く。
インスリンは生体内では主として肝、腎で代謝されるため肝硬変や腎不全などの重篤な臓器障害の場合は、インスリンの代謝が低下して、空腹時の血中インスリン値が高値を示す。何らかの原因で血中にインスリン抗体が存在する場合には、測定上、インスリン値は異常高値を示す。
異常インスリン血症では異常インスリンが代謝されにくいため、高インスリン血症となる。

可動性のある変動要因

食事摂取後やブドウ糖負荷後は空腹時の値より上昇することが多い


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