アルブミンの適性使用
【目的】
血漿膠質浸透圧の維持・循環血漿量の確保
治療抵抗性の重度浮腫の治療
【使用指針】
1.出血性ショック
1)循環血液量30%以上の喪失時:細胞外液系輸液剤が第一選択膠質浸透圧の保持
にはまず人工膠質液を使用
2)循環血液量の50%以上の大量出血、血清アルブミン濃度が3.0g/dl未満の
場合:等張アルブミン製剤の併用を検討
補充量は、バイタルサイン、尿量、中心静脈圧や肺動脈閉塞圧(楔入圧)、
血清アルブミン濃度などにより判断
人工膠質液など1L以上必要とする場合も適応を考慮
腎機能障害などで人工膠質液の使用が不適切と考えられる場合
2.人工心肺を使用する心臓手術
人工心肺の充填には、原則として細胞外液系輸液剤を使用
術前より血清アルブミン濃度または膠質浸透圧の高度な低下のある場合あるいは体重
10kg未満の小児の場合などには適応を検討
人工心肺実施に伴う血液希釈で起こった術後の低アルブミン血症の補正は不要
3.難治性腹水を伴う肝硬変あるいは大量の腹水穿刺時 :
難治性の腹水に対し、利尿を誘導するために短期間(1週間を限度)を投与大量
(4L以上)の腹水穿刺時に循環血漿量維持のための投与を検討
4.難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群
急性かつ重症の末梢性浮腫あるいは肺水腫に対して、利尿薬に加えて短期間(1週間
を限度)投与の検討
5.血行動態が不安定な血液透析時
糖尿病合併症や術後低アルブミン血症例の透析時に、循環血漿量増加の目的で予防的投
与を検討
6.凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法
FFPに比べてアルブミン製剤がより安全な置換液
7.重症熱傷
熱傷後、通常24時間以内は細胞外液系輸液薬で対応
それ以降、細胞外液系輸液薬では循環血漿量不足の是正が困難な場合には人工膠質液
または等張アルブミン製剤で対処
8.低蛋白血症に起因する肺水腫あるいは著名な浮腫が認められる場合
術前・術後あるいは経口摂取不能な重症の下痢などの低蛋白血症で、治療抵抗性の肺水
腫または著名な浮腫が認められる場合、利尿薬とともに高張アルブミン製剤の投与を
検討
9.循環血漿量の著名な減少を伴う急性膵炎など
急性膵炎、腸閉塞などで循環血漿量の著名な減少を伴うショック時、等張アルブミン
製剤の使用を検討
【投与法】
下記の計算式から得られたアルブミン量を患者の病状に応じて分割投与
必要量=血清アルブミンの期待上昇濃度(g/dl)×循環血漿量(dl)×2.5
期待上昇濃度 : 期待値と実測値の差、
循環血漿量 : 0.4dl/kg
投与後の血清アルブミン濃度は、急性の場合3.0g/dl以上、慢性の場合2.5g/dl
以上を目安
【不適切な使用】
1) 蛋白質源としての栄養補給
2) 脳虚血時の血管攣縮に対する脳組織の障害防止目的
3) 単なる血清アルブミン濃度の維持
4) 末期患者へのアルブミン投与
輸血にもどる